AIは教育をどう変えるのか——世界経済フォーラム Education 4.0 Alliance エストニアとスタンフォードに学ぶ、私がWEFパネルで問うたこと

 

先日、世界経済フォーラム(WEF)の「AIと教育」をテーマとしたパネルに参加する機会をいただきました。登壇したのは、国を挙げてAIを学校に導入しているエストニアの教育相、そして人間の学びと発達を研究するスタンフォード大学のイザベル氏を中心とする顔ぶれです。

約1時間の議論は、AIを「どう使うか」という技術論を越えて、「私たちは次の世代をどんな人間に育てたいのか」という問いに踏み込むものでした。NPO法人Waffleとして日本のジェンダーギャップに取り組む私にとって、学びの多い時間だったので、要点を共有します。

招待制で30名ほど参加してなかったので質問しやすかった

エストニアの実践:「AI Leap」と二つの破壊的変化

エストニアはこの数年で、教育に二度の大きな衝撃を経験したと言います。一つはパンデミックによる遠隔学習への移行。もう一つが、2022年に一般化したAI(大規模言語モデル)です。多くの国がAIの登場に身構える一方、エストニアは「手をこまねけば、かつてSNSが子どもに与えた悪影響を繰り返す」と考え、国家プログラム「AI Leap」を立ち上げました。

印象的だったのは、その設計思想です。AI Leapは技術主導ではなく、教育学(ペダゴジー)主導。OpenAIと協力しながらも、まず「何を達成したいか」という教育的コンセプトから始め、それに合わせてツールを設計したそうです。子どもに使わせるAIは、答えを与えるのではなく問いを返す「ソクラテス式」。自分の学習プロセスを分析・評価させ、"考えること"そのものを鍛えるのが狙いです。背景には、「AIを人間の能力の肩代わりに使うのではなく、人間の認知的成長のために使う」という明確な哲学がありました。

私の問い①:女子はなぜSTEMに進むのか

私が最初に尋ねたのは、ジェンダーについてです。エストニアは女性のSTEM卒業生比率が世界でもトップクラス(約41.7%)。これは自然に実現したのか、それとも意図的な取り組みの成果なのか——。

教育相の答えは明快でした。「自然発生ではなく、官民あげた意図的かつ大規模な介入の結果」。政府だけでなく、エンジェル投資家やスタートアップ・コミュニティまで巻き込み、女子を対象にしたプログラミング研修・採用・誘致を進めてきたといいます。小国ゆえIT人材の不足が深刻で、「人口の半分である男性だけには頼れない」という切実な危機感が原動力になっている、と。

これは、私たちWaffleが日本で取り組んでいることの強力な裏付けです。ジェンダーギャップは「待っていれば縮まる」ものではなく、意図と仕組みで動かせる

 

なお、学校でのAI利用に男女差があるかどうかのデータはまだなく、初のモニタリング結果は近く公表される予定とのことでした。

私の問い②:先生たちはどう学び直すのか

もう一つ尋ねたのが、教員の問題です。暗記中心の「低次の思考」を長年教えてきた先生に、どうやって分析・評価・創造といった「高次の思考」を教えてもらうのか。これは日本の教育現場にも直結する課題です。

エストニアの答えは「一方通行の研修ではなく、教員自身のラーニングサークル」でした。先生たちが、AIを使って自分の授業をどう変えたかを持ち寄り、振り返り、互いに共有しながら新しい実践を生み出す。教育相は「受け身で情報を受け取るだけの研修は、それ自体が低次のスキル形成にとどまる」と指摘しました。AI Leapの本質は、AIライセンスを配ることではなく、教員のコンピテンシーを育てることにある——この視点は、日本の教員研修を考えるうえでも深く刺さりました。

スタンフォードからの視点:人間を中心に

スタンフォードのイザベル氏は、議論をより根源的な問いへと開きました。「問うべきはもはや"AIがいつ来るか"ではなく、"どう影響を与えるか"。これは究極的に人間の発達の課題だ」と。

合言葉は「humans at the center(人間を中心に)」。AIが情報処理やルーティン作業で人間を上回るほど、逆に価値を増すのは、好奇心・創造性・倫理、そして主体性(agency)と「関係性の知性(relational intelligence)」——人と関わり、つながる力だと言います。研究上、人間関係は学習と長期的成功の最も強い予測因子である一方、AIの普及は子どもの孤立をさらに深めかねない。だからこそ、技術を「人と人を引き離す方向」ではなく「人間的な潜在能力を高める方向」へ意図的に向ける必要がある、というメッセージでした。

基礎スキルと幼児教育という土台

議論の終盤で繰り返し強調されたのが、「基礎スキルが先」という原則です。学習者の準備が整わないままAIを入れると、むしろ有害になる。だからエストニアは、小学校にはAIを導入しません。小学校は、読解・数的思考・問題解決、そして「自分の学びを自分で理解する」自己主導の力といった基礎を築く場だからです。

そして本当に重要なのは、その前段——幼児・就学前教育だといいます。エストニアがPISA(15歳時点の学力調査)で欧州第1位なのは、3〜5歳への手厚い就学前教育に理由がある、と教育相は断言しました。「AIを入れる前に、基礎がそこになければならない」。技術の華やかさの前に、土台の地道さを説いた点が印象的でした。

日本へ:Waffleがめざすもの

1時間の議論を通して見えてきたのは、AIをめぐる本質的な問いが「導入率」や「ツールの数」ではなく、「子どもたちがより有能で、つながり合い、目的を持って生きられる世代になれるか」にある、ということでした。

日本でも、女の子がテクノロジーの「使い手」だけでなく「創り手」になれる社会へ。エストニアが示したように、ジェンダーギャップは意図的な介入で動かせます。私たちWaffleは、その一歩を日本で積み重ねていきます。

 

個人のエンパワメントと社会構造の変革のためにぜひご寄付お願いできると嬉しいです。

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世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)2026に参加しました

こんにちは。NPO法人Waffle代表の田中沙弥果です。

 

世界経済フォーラム🌍の年次総会(通称ダボス会議)2026に参加してきました。
朝7:30から夜までほぼ毎日予定が入っていて、振り返る時間もなかったです。時差ぼけとか言っている暇すらないくらい、intenseな一週間でした。

朝はシャトルバスに乗れば、1時間ほど5人の「はじめまして」の人と、「どんな仕事をしているの?」から会話が始まり、毎日いろんな人々と出会いました。

私の今回の参加の目的はいくつかあるのですが、そのうちの2つが、「Inclusive AIの議論を持ち帰る」「AI教育について他国の情報を知る」でした。

 

他国のAI教育について



Corporate Ladders, AI Reshuffledのセッションに行きました。

登壇者はAndrew Ng(Founder, DeepLearning.AI)で、ご存じの方も多いかと思います。さらに、UAEの教育大臣であるSarah bint Yousif Al Amiri(Minister of Education, Ministry of Education of the United Arab Emirates)も登壇されていました。UAEは、世界で初めてK-12でAIリテラシーを公教育で義務付けました。

UAEの教育システムは、AIツールの使い方、批判的思考、情報の取捨選択能力を教える方向に転換する必要があるとされています。UAEではすでにK-12教育でAIリテラシーを必修化し、教員のトレーニングも行っています。
ソーシャルメディアの例を挙げ、適切な使い方を教えなければ、AIも悪影響を及ぼす可能性があると指摘されていました。

私は日本の文部科学省中央教育審議会 情報技術ワーキンググループで委員をしており、そこでも、小・中・高・大の系統性をどうするかという議論があったので、それについて質問をしました。

回答がめちゃくちゃ良かったので、せっかくなので長いですが、日本語訳をすべて掲載します。

UAEの教育大臣
    • 日本語訳はこちら
      • 「はい、もちろんです。では、私たちがこれまでに取り組んできた基本的な成果についてお話しします。
      • それが今後どのように進化していくべきか、明確な答えがあるかというと、正直なところ“いいえ”です
      • 私たちのAIカリキュラムは“生きているカリキュラム”であり、前に進むにつれて変化し続ける必要があるからです。
      • ただし、段階ごとに説明していきます。
      • まず、幼稚園の子どもたちについてですが、彼らにとって重要なのは、私たちは子どもに対して“AI”という言葉を使わないということです。
      • 私たちはそれを“ロボット”と呼びます。つまり、「何かをするロボットが存在する」という理解です。
      • そして、そのロボットが何かをするためには、大人の監督が必要である、ということを理解してもらいます。
      • 子どもたちがそれと関わるためには、大人の関与が不可欠だという点が重要です。
      •  
      • 次に、少し成長してAIに触れ始める年齢の子どもたちには、AIがどのように動いているのかを、とてもシンプルな形で理解してもらうことが重要になります。
      • ここで機械学習の話に戻ります。
      • 私たちは、AIとは「与えられた情報に基づいて判断や見方を構築するもの」だと教えます。
      • もし単一の種類の情報しか与えられなければ、その視点も偏ったものになります。
      • 例えば、よくある例として、青りんごを見せて、『これはりんごか?赤りんごはりんごか?』といった形で説明します。
      •  
      • そして中学校・高校の段階に進むと、ここで初めて“批判的思考(クリティカル・シンキング)”の要素を組み込んでいきます。
      • それは自分の倫理観や価値観と合致しているか?
      • AIから得た回答は妥当なのか?
      • 自分が与えたプロンプト(指示)は、求めている知識の深さを引き出すのに十分だったのか?
      • どのような文脈で使うべきなのか?
      • また、どこからが本当の意味での盗用(プラジアリズム)で、自分が努力をしていない状態なのか?
      • そうした問いを投げかけていきます。
      •  
      • その次に来るのが、教育者自身が、人生のさまざまな段階でAIにどう向き合うべきか、どのような知識に触れる必要があるのか、という再考です。
      • これは皆さんも触れていましたが、“専門性のレベル”の問題です。
      •  
      • 人々がAIを効果的に使うためには、特に現代においては、最低限必要な知識レベルが存在します。
      • AIを“有効なツール”として使うための基礎知識です。
      • 私たちが今、重点的に取り組んでいるのは、学生たちが“中核となる知識体系”を身につけ、その上でスキルを活用できるようにすることです。
      •  
      • 先ほども触れましたが、重要なのは批判的思考、そしてレジリエンス(回復力)、適応力です。
      • 適応力とレジリエンス、そして批判的思考が組み合わさることで、学生は「学び、そして学び直す力」を身につけることができます
      •  
      • これは、教育システム全体における長期的な変革の話です。
      • 多くの要素を内包した仕組みを構築する必要があり、それには時間がかかります。
      • しかし、そのプロセスを通じて、私たちは“今の教育の枠組み”から抜け出し、
      • 本来目指すべき成果を生み出せる教育の姿へと移行していく必要があります。

  • <このセッションの全ての動画をこちらでみれます>

    https://www.youtube.com/watch?v=NCwEw7pI7JY



    さらに、China's AI+ Economyのセッションにも参加し、Gong Ke先生(南開大学 新世代人工知能発展戦略研究所 執行理事)に質問しました。


    <このセッションの全ての動画をこちらでみれます>

    https://www.youtube.com/watch?v=8NtZ9mFx_DU

 

その他、このセッション全体の話として、AIは多くの職務を破壊する可能性があるが、特にエントリーレベルの仕事が完全になくなるわけではない、という点が語られていました。重要なのは、現在の教育システムが時代遅れであり、AIを活用するスキルを教えるように、カリキュラムを緊急に改訂する必要があるということでした。

また、将来の労働市場では、誰もがコーディング能力を身につけることが重要になるという話もありました。「誰もがコードを書く」とは、伝統的なコーダーになることを意味するのではなく、AIの助けを借りて、自分の専門分野でコードを生成・活用する能力を持つことを意味します。このスキルを持つ人材は生産性が高く、業界を問わず価値が高まるとされていました。

コンピュータサイエンスの卒業生は、大手テック企業だけでなく、他業界の人事や財務などの部門でAIスキルを活かすべきであり、そのためには考え方をリセットする必要がある、という話でした。

 


AGIがもたらすリスクと対応

AGIは大きな利益をもたらす一方で、制御不能、悪用、経済的混乱といった深刻なリスクも伴います。これらのリスクを克服するためには、企業、研究者、政府が協力し、緊急性を持って対策を講じる必要があるという話がありました。

今後数年間で対処すべき主要なリスクとして、以下が挙げられます。

  • 自律性の高いシステムの制御

  • 個人による悪用(例:バイオテロ

  • 国家による悪用(例:中国共産党などの権威主義政府)

  • 経済的影響(例:労働者の置き換え)

技術によってさまざまな利益が生まれる一方で、不利益をどうコントロールしていくかについても研究開発が必要であり、マルチステークホルダーで対応していく重要性がある、という学びでした。

また、不利益についてきちんと義務教育の中で倫理面の教育をさらに行う必要があることも感じました。


Inclusive AIについて

女性起業家のセッション

今回たくさんのセッションがあった中で、DEIに関するセッションは、一般向けが一つ(Future of Inclusion)と、クローズドセッション(招待制)がいくつかあるだけでした。

てっきりAI関連のセッションでは、AIのガバナンス、倫理、デジタルデバイドインクルージョンといったテーマが毎回のように話題に上がると思っていたのですが、少なくとも私が参加していたセッションでは、ほとんど触れられていませんでした。

一つだけ印象的だったのは、スリランカの首相が女性で、彼女が「国の経済的発展は、無償労働ケアワークなど)の上に成り立つ社会ではなく、包摂的にさまざまな人が経済発展に関われるように設計されるべきだ」ということを大前提として話していた点です。これは非常に良かったです。

ダボスに18回ほど参加しているグロービスの堀さんのブログにも、「サステナブル」や「DEI」が禁句になっていたと書かれていたので、今回は相当DEIが消え去ってしまったのだろうと思います。


ダボスという街は人口減少

また、ダボスで毎年開催されることについて、現地の方からも話を聞きました。
ダボスも人口減少が起きており、世界経済フォーラムが開催されるイベント週に莫大な収益が得られるそうです。この一週間でホテルは一年分の利益を得られるため、普段の稼働率が40%でも問題ないとのことでした。

一方で、賃貸物件がイベント週の短期貸しに偏り、通年居住用に回らず、人が住めない街になっているという話も聞きました。これはサイドイベントの影響が大きく、サイドイベントが主催イベントと同等、もしくはそれ以上の規模で開催されていることが背景にあるようです。

住民のことを考えると、too muchすぎません?
世界経済フォーラムは対策を打たなくて大丈夫?と思ったりしました。


面白かったこと

YGL

Financial Timesの朝食会に間に合わなかったため、ラウンジで一人でパンを食べていたところ、一人の男性が会釈をしてくれたのでご挨拶しました。
すると、その方は今回のOpen Concertを企画・管理し、グラミー賞を運営している会社の方でした。パートナーはコンピュータサイエンティストとのことで、Waffleが実施している内容を非常に重要だと思う、と言ってくれました。

私が「今回のアニュアルミーティングで、レッドカーペットを敷いて、みんながドレスアップするのを世界経済フォーラムに提案したらいいと思う」と言ったところ、「たしかにそれは良いアイデアだね。提案してみるよ」とのこと。
来年レッドカーペットがあったら、私のアイデアということで。笑

非営利セクターで、日本だけで活動していると出会わない領域の人たちとの交流はとても面白かったです。とくに、それが次のご縁につながるかは分かりませんが、その場で少し会話を交わすだけでも楽しかったです。


 

左のジョージアの方とコラボの話をしたり、右側のオーストラリアの方は誕生日が一緒!

別の話ですが、女性エンパワメントを推進するオーストラリアの方と、まさかの誕生日が一緒…!
さらに、草野えみちゃんとAIアーティストで集まった3人が、3人とも誕生日が同じだと言っていて、「そんなことある???」と思っていたら、私も同じ誕生日でした…!

同じ女性エンパワメントの文脈で世界経済フォーラムで出会い、しかも同じ誕生日なんて、運命すぎる……。


その他、3日目は「平和のセッションはオンラインで見ればいいや」と思っていたのですが、どうやらライブ配信がなく、歴史的瞬間だったようで、見逃してしまったことを少し後悔しています……。

トランプ大統領ダボス会議で「平和評議会」の憲章に署名
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_167602/)


などなど、他にもたくさんシェアできることはありますが、まずはAI教育、ジェンダーに関すること、その他の感想をまとめました。

10日間ほど、1歳の子どもをずっと見てくれていた夫・義母に感謝です!

 

その他写真で..!

トランプ大統領。会場の全員の関心度の高さ。

赤沢経済産業大臣は大変お忙しい中個別にお時間を割いてくださりお話できました🙇‍♀️

スリランカの首相が女性!

イーロンマスク

 

0歳児育児とNPOを運営するはじめての年:2025年振り返り

こんにちは、NPO法人Waffleの田中沙弥果です。
今年は産休・育休を取得し、4月から復帰しました。その後Waffleでは設立5周年イベントを実施し、社員も増え、目標も達成し、成果が出た一年になりました。

 

(Waffle5周年イベントの様子)

 

今回は、わりとプライベートも含めた振り返りをしようと思います。

 


保育園の悩み:自宅保育か、保育園なのか

そもそも私は役員なので選択肢は保育園一択しかないのですが、こんなに可愛い子を、自分が仕事をするために他者に預ける(しかも保育園に行くと必ず風邪をもらうので、健康被害が出る)というトレードオフ感に、とても悩みました。

ベビーシッターにお願いするにしても、月20日・8時間もお願いすると家計は火の車になりますし、だからといって保育園に預けたくないのに、預けなければならない……いやだ……。

 

ということで、初期は義母と夫に自宅保育をしてもらいながら、保育園は週1〜2日、自分は仕事をしていました……(夫と義母ありがとう……)。

週4ではじめて保育園に行ったのは、7月頃でした。

 

今でもやっぱり、歩き始める生後7ヶ月くらいまでは自宅保育がいいなと思っています。


保育園に行くと、胃腸炎手足口病、普通の風邪、アデノウイルスなど、毎月病気をもらい、私と夫にもかかり、大人のほうが症状がひどくて、めちゃくちゃ大変でした。

 

今は1歳になり、自宅よりも保育園のほうが楽しい遊びや外遊びをしてくれるので、保育園に行くほうが本人も楽しい時期になりました。離乳食も、栄養バランスを考えられた保育園のほうがよいと感じています。

 

ということで、会社員で育休があったら1年育休を取っていただろうな、というほど、私は子どもの側にいたい派でしたので、「自宅保育か、保育園か」という悩みは、この一年ずっとつきまとっていました。

 

ただ本人は保育園が楽しいらしく、自ら保育園の教室に入っていきますし、親にすがることもなく、泣いたこともありません。早めに預けるメリットもあったのかな、とは思っています。


仕事で国内出張・海外出張に行けたのは、夫と義母のおかげ

 

4月に復帰してから、国内では軽井沢、長崎、大阪、神戸、東北など、何度も宿泊を伴う出張がありました。海外では、中国へ1週間、スイスへ1週間の出張がありました。

毎度、義母に来てもらって、1週間面倒を見てもらっていました。

 

ただ、中国出張の際に、まさかの「保育園にほとんど行けない」という事態が発生し、大人にもアデノウイルスや結膜炎がうつり、夫と義母がボロボロになりながら自宅保育を乗り越えてくれました。


そして私も体調が悪く、すぐに家に帰れず、なんやかんやで10日間ほどを義母と夫が自宅保育で乗り切る、というギリギリのラインでした。

 

その後、フローレンスに登録し、病児保育の際はほぼ100%シッターさんが来てくれる体制にしてから、だいぶ楽になりました……(区の病児保育は、まだ試したことはありません)。

 

また、国内出張の時は、私がいない時に限って今までにない事態が発生し、夫のワンオペと重なることが多く、さまざまな方にご迷惑をおかけしながら、出張を途中で切り上げて自宅に帰ったこともありました。


周りの方のご理解のおかげで、子どもの健康を第一優先にすることができました。本当にありがとうございました!


理想って、もしかして週4・6〜7時間勤務?(もちろん前提はフルリモート・フレックス)

私のような、子どもを優先した「ちょっとだけ余裕のある働き方」って、
フルリモート・フルフレックスが当たり前で、水曜日が休みで、1日は6〜7時間勤務なんじゃないか、と思えてきました。(実際、Waffleではそのような働き方をしている方もいます)

ルフレックスの必要度合いが、以前は全然わかりませんでしたが、当事者になると「フルリモート・フルフレックスでようやく育児と仕事が両立できるかな」という感覚になります。
当事者にならないとわからないことって、本当に多いなと思います。

世の中の経営層がケアワークにコミットする必要があるのは、こういうことで、当事者になると見えてくるものがあり、会社の意思決定は大きく変わると思うんですよね。


この一年で変わったこと

長期間休んだことで、しばらく仕事のことを考えませんでした。そこでWell-being的な考えが芽生え始め、ちゃんとライフ(育児も介護も、自己成長も)を大事にする方向へ、マインドがシフトしました。


もちろん仕事も大事ですが、それ以上に心身ともに健康であること、そして、いつか必ず直面する介護や育児などのケアワークも大事にしながら働けるようにすることが、とても重要だと思うようになりました

 

休む前は、やはりどんな時も仕事が最優先で、土日もお構いなし(特に緊急時)、夜でも打ち合わせをしていました。基本的にずっと仕事のことを考えていたので、プライオリティは常に仕事でした。
仕事に穴をあけるのは良いことだとは思っていませんでしたし、何か依頼をされればすぐに対応するために、少し無理をする、という姿勢が染み付いていました。

 

それがすっかりなくなり、「人生、体調を崩すこともある」「ケアワークで抜けることも全然ある」、というか、それが当たり前だ、という感覚になりました。

なので、WaffleのSlackで昼間に
「PTA行ってきます!」
「子どもの歯医者に行ってきます!」
といった投稿を見ると、こういう働き方がもっと世の中に広がらないと、働ける総人口は減っていくばかりだろうな、と思います。(そもそも少子化で総労働人口は減りますしね..)


ということで、会社としても個人としても、本当に多くの人に支えられた一年となりました。

 

Waffleは引き続き、テクノロジー分野のジェンダーギャップ解消のために、学生のエンパワメント、そして社会を変える仕組みづくりに本気で取り組んでまいります。

 

今年も大変お世話になりました。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします!

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世界経済フォーラム Young Global Leader サミット・サマーダボスに参加しました

こんにちは。テクノロジー分野の女性とノンバイナリーの学生のエンパワメントと社会構造変革をおこなっているNPO法人Waffle代表の田中沙弥果です。

 



私は2024年に世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーに選出していただき、2025年の今年、初めてサマーダボスおよびヤング・グローバル・リーダーのアニュアルサミットに参加してきました。

備忘録のためにも、ここにブログとして残しておきたいと思います。

 


世界経済フォーラム Young Global Leaderとは?

YGL(Young Global Leaders)は、世界経済フォーラムの創設者兼会長であるクラウス・シュワブ教授によって2005年に設立されました。
複雑化し相互に関連する課題に取り組みながら、持続可能で誰一人取り残さない包括的な世界を実現するために、リーダーが責任を持って行動することを目的としています。

YGLのメンバーおよび卒業生は現在120カ国以上から1,400人を超え、著名なメンバーにはジャシンダ・アーダーン元首相、サナ・マリン元首相、カルロス・アルバラード・ケサダ元コスタリカ大統領、起業家のイイノルワ・アボイェジ、レア・マズムダル・シンハル、平和活動家のビクター・オシェン、経済学者のエステル・デュフロなどが含まれます。
👉 公式サイト


これまでの参加歴(サマーダボス

私は2024年4月にYGLに選出いただきましたが、その年は妊娠・出産があり、海外出張はやむなく断念しました。
YGLの活動期間は3年間(以前は5年間だったそうです)しかなく、そのうちの1年が無駄になってしまうことに焦りを感じていました。

しかし、ジーンクエストの高橋さんに「1年延長できるよ」と教えていただき、実際にYGLコミュニティのコミュニティマネージャーにお願いして延長してもらうことができました。

 

こうして2024年はお休みし、2025年から活動をスタート。
最初の参加は2025年6月に天津で開催されたサマーダボスでした。

 

(バッチかっこいいい)

 

これまではジェンダーに関するテーマを中心に学んできましたが、今回はエネルギートランジション、ネイチャーポジティブ、気候変動、AIと多様な分野との関わりなど、幅広い最新の知見に触れることができ、大変学びがありました。

 

特に、WaffleとしてはAIがあらゆるグローバルテーマに関わるからこそ、現在マイノリティである女性やノンバイナリーが社会の変革の担い手となる重要性を改めて実感しました。

 

ただ、体調不良で全体の3分の1程度しか参加できなかったのはとても悔しく…オンライン配信をずっと観ていました(笑)

 


YGL Annual Summit @スイス・ジュネーブ

YGL Annual Summitは、1日目に2025年クラスの約70名が参加し、2日目・3日目は卒業生も加わって合計400名がスイス・ジュネーブに集まりました。

私は延長していたため本来は2024クラスですが、特別にClass of 2025の1日目から参加させてもらいました。

さらに3日目は「シニアレベルの女性管理職が少ない問題」のセッションでDiscussion Leader(実質的にはスピーカー)を務めさせていただきました。

 


Leadership for Equity Challenge:Closing the Gap at the Top

私がDiscussion Leaderを務めたセッションのテーマは、
「女性リーダー登用率が経済状況に大きく左右され、特に厳しい経済環境下では減少傾向が顕著になるのはなぜか?」でした。

 

議論では以下のような事例が共有されました:

  • モンゴルジェンダークオータ制導入により2024年の選挙で女性議員比率が17%から25%に上昇。その中には障害者の議員も2名含まれる。

  • ナイジェリア:大学進学率は女性も約50%だが、職場進出は1%に激減。エントリーレベルでは30%台、CXOレベルでは20%台に低下。女性は推薦が得られないと転職・離職を選びやすく、シニア採用は社内昇進より外部採用が多い。

  • カナダ:政府がアンカーとなったジェンダーレンズ投資ファンドの取り組み。

  • イギリス:2017年から男女賃金格差のレポート公開が義務化され、インセンティブが働いた。

また、企業の育児・復職支援策が女性のキャリア継続に有効であること、政策設計に女性が関与する重要性なども議論されました。


働く親として、経営とケアワークの両立

「自分のリーダーシップ」について話すワークでは、iamtheCODEのMariemeやNGOの方々と議論しました。

(彼女は2019年に小林りんさんや、みんなのコードの利根川さんに紹介していただいたのが最初の出会いです。)

別の方の話ですがアフリカ(特にガーナ)では平均寿命が50歳くらいだと聞いてました。

Marieme自身もセネガル出身で、家系は糖尿病で早くに亡くなってしまう人が多く、もう自分も50歳を迎えるので「健康こそが何よりも大事」だと強調していました。彼女はシングルマザーで、すでにお子さんは24歳。難民キャンプで女の子たちにコーディングを教える活動をしたり、ジョージアでAI研究所を立ち上げたりと、めちゃくちゃパワフルに活動しているのに、毎朝必ずジムに行くことと、パンやお米を一切食べないことだけは徹底しているという話でした。

 

他にも、36歳で小学生の子どもが2人いる方がいて、その方も朝5時にジムに行き、6時には帰宅して子どもたちの学校や習い事の準備をするというルーティンを話してくれました。パワフル〜〜〜〜

 

グローバルなNGOを運営していると、国内外の出張もとても多いのですが、NGOは潤沢に資金があるわけではないので、毎回子どもを連れて行けるわけではないという話もしました。だからこそ「家族との時間は絶対に大事にする」と決めていて、例えば 18時以降は仕事を入れない、子どもの送迎時間は必ずカレンダーにブロックする など、チームにも明確に共有しているとのことでした。

 

「送迎の車の中でミーティングしちゃえばいいじゃん?」と思う人もいるかもしれませんが、彼女はそれを一切しない。子どもと一緒にいる時間は100%子どもに向き合う

かっこいい!いいね!

 


所感

YGLに選出いただいたことで、グローバルな視点を養うと同時に、多様なリーダーたちとの出会いに恵まれました。
Class of 2025は1,000件以上の応募の中から約100人が選ばれたそうで、本当に光栄です。

今回、印象的だった話のひとつに「ガーナの文化」がありました。ガーナの大学でNPOのマネジメントなどを教えている方と話していて、日本と全然違うなと思ったことが。

ガーナでは貧困率が高いにもかかわらず、子どもを4〜5人産むことが「よいこと」とされているそうです。つまり、経済的に困窮するリスクがわかっていても、それでも子どもをたくさん持つことを推奨する文化や価値観がある。

 

この話を聞いて「人は合理的に損得だけで意思決定をしているわけじゃなくて、何を信じているか、どんな“物語(narrative)”の中で生きているかによって行動が決まるんだな」と強く感じました。

例えば、日本でも「女性は家を守るもの」とか「母親は子育てを最優先すべき」という古いnarrativeがまだまだ根強く残っている気がします。それがどれだけ個人の選択肢やキャリアの可能性を狭めてきたかを考えると、narrativeの力って本当に大きい。

 

だからこそ私は、Unlock women’s potential(女性の可能性を解き放つ)Close the gender gap in tech(テック分野のジェンダーギャップをなくす) というビジョンを軸に、これからどんなnarrativeをつくっていけるのかを考え続けたいと思いました。

 

女性だから無理ではなく、女性の可能性を心底信じる社会へ

テクノロジーは一部の人で社会をつくるものではなく、多様なマイノリティの視点を取り入れて共につくるものへ

 

どんな物語を提示すれば、日本やアジアの社会がもっと早く、もっと前向きにジェンダーギャップ解消へ走り出せるのか。今回の経験を通じて、それを考えることが私の次のチャレンジなんだと改めて思いました。

 


英語について

最初女性管理職少ない問題についてスピーカーとして依頼がきて、お、やばいかも!となりましたが、今90Englishを受講しておりまして、できないとは思わずにで、90Englishでなんとかしようという心意気でやっております・・!(無事Discussion leaderも終えた!)

 

9月から毎月1〜2回、英語での登壇が増えたため、完全にオリジナルの私の教材を作っていただいて、毎日コーチの方もジェンダーのこと全然知らないはずなのに付き合ってもらってます。笑

 

90Englishは自分のレベルとゴールに完全にカスタマイズしてくれるので、絶対に結果出したい方は超おすすめです。

代表の男性の方がスタートアップで急成長中だけど育休とるという発信もされていて、めちゃ推してます。

ぜひ。

 

90english.com

代表の方のSNS

 

 

これからも学生たちをエンパワメントをするのと同時に社会の仕組みを変えていきますのでご寄付での応援よろしくお願いします。

waffle-waffle.org

 

 

 

 

起業家の挑戦:Waffleを創業してから5年半経ちました

 

創立5周年記念イベントを5月16日に実施しました。

 

もう5年経ったのかと、正直びっくりしています。

 

起業家として生きていきたいと思った2015年、大阪市が行う起業家アクセラレータを片っ端から受け、上場企業の創業者・代表から起業の考え方をインプットするところから始めました。その後、起業の始め方がわからず、とりあえずテクノロジー領域の女性エンパワメントを目指すボランティア団体であるGirls in Tech Japanを立ち上げたのが2016年。

立ち上げてみて、まだ自分のやりたいことを実現する力がないと痛感し、修行先になんとか運で入れたNPO法人みんなのコード。

最初から起業を視野にいれてることを伝えていたため、色々な場面で利根川さんから学び、2019年にWaffleを創業。

 

節目のイベントで「おめでとう」と言っていただいた中で、「頑張ったね」とハグをくれた方が何人かいて、その瞬間、これまでの10年間が一気に頭をよぎり、思わず泣きそうになりました。

 

批判の声が私を強くした

 

大学の時はイオンのレジ打ちをしていたくらい起業から程遠い人生を歩んでいたので、周りに起業家はいないし、起業に関する情報もないため、「大阪 起業 セミナー」で検索し片っ端から参加していくところからスタートでした。

 

本当に人脈もお金もスキルもゼロからスタートし、開拓し続ける日々でした。

 

Waffleを起業してからも応援してくれる人はいましたが、このIT分野のジェンダーギャップ解消を社会課題として捉えてもらえるまでは、必要以上にロジカルな説明を求められ、ことあるごとに男性差別だ、理解できないと言われる日々。

 

それをいかに応援したいと思う社会にしていくか、「社会をどう変えていくか」を模索し続けてきました。



心ないことを言われることも普通にあり、大泣きしまくって、絶対見返してやると決意した日が何度あったことか。



若い女性というのを使って寄付・協賛をもらってる」

「Waffle応援したくない。自分の娘は絶対にWaffleに入れたくない」

「あの人(業界のオピニオンリーダー)から連絡がないってことは、あなたはその程度の人ってこと」

「そんなに偉そうに社会の変えたいところを言うなら、有識者に選ばれてみろ。選ばれてないのはお前の実力だ」

「リスクは誰でも取れる(あなたのやってることは大したことない)」

 

本当に悔しくて悔し涙を流しまくって、一通り気が済むまで泣いた後は、Waffleを必ず成功させてやると決意をさらに硬くし、次の日は行動力を200%にして前に進んできました。

(泣いたら頭スッキリしてやるべきことがクリアになるよね)

 

一気に自分に批判がきた時はこれまでの人生で初めて自分を見失い、全ての判断に自信喪失し、自分はどうしたいのかわからない自体に陥り、もう本当に無理かもしれないと思った日もありました。逃げられたらどれだけ楽だったか。

 

そんなしんどい時、辛い時、常に誰かが手を差し伸べてくれたおかげで、私はここまで心折れずにやってきました。辛い時に話を聞いてくれる人、特別に機会をくれた人、どんなことがあっても応援してるからと言ってくれる人のおかげで、私は前に進むことができました。

 

乗り越えた後は、人とのつながりがより強固になり、沢山の気づきと、自分らしさを取り戻すことができました。

 

批判が私の信念をより強固にし、悔しさが原動力になり、困難が私を強くしてくれました。

 

すべて、すべて、乗り越えてきたんだと――

「頑張ったね」の一言で、ぶわっと思い出しました。




5年経った今の現在地、これから

 

この5年間で、デジタル(STEM)×ジェンダーギャップの領域で複数の有識者を拝命し、日本国内にとどまらず、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーにも選んでいただくなど、Waffleをグローバルに広げる素地もできてきました。

 

赤沢大臣がWaffleを継続的に応援してくださり、各省庁からもWaffleの提言は信頼され、なにかあれば相談していただける関係性が築けています。

 

学生向けのアウトリーチも、チームが地方にまでしっかり届け、テックの技術もエンパワメントも届けられるようになりました。

年間1,400人の学生に機会を届け、これまで15,000人の大人・学生にリーチしてきました。

 

Waffle5周年記念イベントには、アカデミア、政府関係者、NPO、企業、スタートアップ、メディアなど、さまざまなステークホルダーの方々にご参加いただき、Waffleがマルチステークホルダーに影響力を持つ存在になっていることを再確認しました。





起業家は、思ったよりも孤独で、毎日が悩みの連続。しんどいことのほうが多いかもしれません。

でも、心が折れなければ、「なんとかする」の連続で、前に進むことができます。

 

ジェンダー後進国といわれる日本で、この領域で活動を続けていくには、応援者もパートナーも、自分で開拓していかなければなりません。

 

それでも、振り返れば、この5年間でWaffleは確実に社会に変化をもたらしてきました。

テクノロジー分野でのジェンダーギャップを埋めるために、私たちはこれからも挑戦を続けます。

 

批判も、涙も、すべてが私たちを強くし、ここまで連れてきてくれました。

そして、これからも、応援してくれる皆さんと一緒に、もっと大きなインパクトを生み出していきたいと思っています。

 

5周年はゴールではなく、新しいスタートラインです。

次の10年、20年を見据えて、Waffleはさらに走り続けます。

 

いま私たちは「認定NPO法人化」に挑戦しています。
年間3000円x100人以上が実現すれば、寄付に税控除が適用され、資金の選択肢が広がります。
Syncableは寄付いただいた金額の中からシステム利用料が差し引かれる仕様に現在なっており、、3000円ぴったりではなく、システム使用料も合わせてご寄付いただけると幸いです><
 
▼以下から寄付可能です。
 

syncable.biz


 

皆さま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。







 

ジェンダーギャップ解消がテーマのNPOの代表が5ヶ月産休・育休取得することになった話

こんにちは。NPO法人Waffle代表の田中沙弥果です。

私事ですが、現在妊娠9ヶ月になりまして、産休取得+育休(保育園に入れるまで)を取得することになったので、今回ブログにまとめておこうと思った次第です。



12月初旬に出産予定なので、11月〜1月が産休、2月・3月が育休で、4月に保育園に入れる予定です。(4月は慣らし保育があるとのことで、おそらくちゃんと働けるのは4月後半以降…?)

 

NPO法人WaffleはIT分野のジェンダーギャップ解消のために女子とノンバイナリーの中高生・大学生にプログラミング教育事業を展開するとともに、ステークホルダーや政策への提言を実施しており、2024年11月で創業丸5年を迎えます。(創業5周年イベントは来年の3月に実施を予定しています!)

 

日々ジェンダーギャップ解消を扱う立場の者として、今回のライフイベントは私個人の選択が個人の問題ではなく社会的なものとして見られるだろうと思っています。

 

自分が当事者にならないと分からなかったことも多かったので、いろんな経営者や管理職の人にも知ってもらえればと思います!

会社の代表が産休・育休をとるということ

会社の代表者がいなくなるということで、周りの女性起業家たちに「産休どれくらい取得した?」「役員は育休制度がないが、育休のような期間を取得したか?」など、何名かに聞きました。

 

すると、会社のフェーズや状況によってまちまちで、大体は産休もほぼ取らずに仕事をしていたという回答が多く、経営者ってそうですよね…と現実を見ました。

また、男性の代表取締役や取締役の場合も育休を取ったかについて聞いてみましたが、世の中の動きもあって「1ヶ月取った」という回答でした。中には、子どもが生まれたのに会社のトラブル対応を優先することになり、人生の優先順位を考えるきっかけになったという方もいました。

 

それを聞くと、「やっぱり私もギリギリまで普通に働いて、無痛分娩だし復帰も早いだろうから休んでも2週間くらいかな〜」とか思っていたのですが、社内のメンバーにヒアリングしながら引き継ぎ書を作っていくと、結果的に産休(前後)・育休期間は月2回のディレクター森田とのミーティングのみで、それ以外はSlackも見ない、メールも見ない、というほぼ完全休みを前提とすることとなりました。

 

こうなったのは、ディレクターの森田が0歳児育児を経験しているので、いかに仕事ができる状態ではないかを理解していて、「田中がいないという前提で引き継ぎ書を作りましょう」と心強い言葉をかけてくれたおかげです。

(森田の考えはこちらをご覧ください!:女性エンパワーメントのための産休マネジメント 〜BCPで考える〜

他にも子育て世代が多いので、


「体調が安定しているときだけミーティングにポッと出て、状況把握するくらいで良いんじゃないですか〜?」


「会社の代表が出産ギリギリまで働いたり、出産後すぐに戻ってくると、後に続く人が自分もそうしないといけないのかなと思われるので、5ヶ月十分に休んでほしい」


「とにかく出産は何があるかわからないから安静にして、無理しないで!」


という声があり、子育て経験がある女性が多い職場だと働きやすいのはこういうことなのかと実感しました。

 

会社の経営者として5ヶ月も会社を離れるなんて自分から絶対言わない、多少無理してでもすぐ復帰すべきだという風潮がある中で、大変ありがたいことに安心して出産・子育てに向き合えることができます。

今回、私は自分の妊娠経験を通じて、世の中のライフイベントが足かせにならず、支えられる社会を身をもって体験できた気がします。

組織経営と妊婦生活と仕事の両立

創業した会社のドメイン上、ジェンダーギャップ全般の話はよく議題に上がり、特に不妊治療・出産・子ども・保育園や学校でのジェンダーバイアスについてはかなりオープンに話をしたり、勉強会を実施していました。

女性とキャリアを考える上で、妊娠には適齢期があるから早めのほうが良いこと、健康体でも妊娠できるかは別であること、不妊治療はお金がかかることと仕事の調整がしづらいこと、メンタルが本当にやられることなどを、周りの方の原体験からよく聞いていました。
私もWaffleを創業して初めて知ることも多く、なんでもっと早く知る機会がなかったのだろう…と思うことが多々あります。

(参考:女性のキャリアとライフイベントについて、Waffle社内勉強会の資料を公開しました

 

そのような中、当事者になって初めてわかることも多かったのですが、ライフイベントと両立するには以下のような会社制度が必要だと改めて思いました。(もちろん実現できない業態もあるかと思いますが…)

  • フルリモート
    電車通勤を極力なくす。妊婦が立っているだけで足がむくむなんて知らなかった。せめて通勤ラッシュと被らないようにするのが大事。
  • コアタイムなし、フレックス
    妊娠中は体調が読めない。先週は元気だったのに急に10分歩くだけでしんどい…という状態になったり、つわり時期も人によって症状はさまざま。自分の体調に合わせて働ける環境が必要。
    また、妊婦健診が平日17時までに4週間に1回、2週間に1回行かなくてはならず、毎回有給を使うわけにはいかないので、働く時間を調整できる状態が望ましいと感じました。
  • 昇進・昇給のチャンスの延長
    私の場合、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーの研修期間が3年間で、そのうちの1年は機会損失だと思っていたのですが、ジーンクエストの高橋さんが「延長もできる」と教えてくださったので、1年延長を依頼してOKをいただきました。
    また、別のMBAプログラムにお誘いを受けた際、産休と被っているので難しいかもしれないと相談したところ、一度プログラムに合格していれば、2回別の機会に受けるチャンスがあり、今機会を逃しても半年後に参加できるという設計だと知りました。

ライフイベントなどで昇給のタイミング、管理職になるタイミングと重なることも他の会社でもあると思いますが、このように「1回しかないチャンスを逃すとキャリアのトラックから外れる」ということがなく、何度もチャンスがある、あるいは延長できる制度は非常にありがたいと感じました。

その他職場とジェンダーギャップについての課題や提言は「Indeed 職場のジェンダーギャップ解消に向けた有識者会議を開催:開催レポート」をご覧ください。

 

まとめ

私は今回チームメンバーのおかげで十分に休むことができますが(Waffleメンバーに大感謝!!!!)、まだまだ自社を見ると1人抜けると困ることも多く、いかに“チーム制”にして、どんなライフイベントで人が抜けても大丈夫で、属人化しない組織体制を作っていくかが次の課題だと受け止めています。

 

改めてライフイベントを経験する女性が多く社会で働いていることが、次世代にとって働きやすい社会だと実感したので、引き続きWaffleを応援していただけると嬉しいです!



※業務連絡※

10月後半から3月31日までは仕事関係の依頼は info@waffle-waffle.org までお願いいたします。(Facebook メッセンジャーやXのDM経由で仕事のお話は連絡できませんのでよろしくお願いします!

 

告知①

Waffleがリージョナルアンバサダーをつとめる女子とジェンダーマイノリティの中高生を対象とした国際ビジネス・アプリコンテストで文部科学大臣賞を受賞したチームが、123カ国総勢11,000チームがアプリ作品を提出した中の、トップ15チームがファイナリストに選ばれ、アメリカ西海岸時間の10/15からTechnovation GirlsのWorld Summit2024でピッチする予定です🎉🇺🇸(※本チームはCoderDojo瑞穂が支援していたチームです!)

 

World Summitの様子は日本時間の10/18(金)午前8:00〜ライブ配信されますのでぜひ登録して応援してください!(登録:

World Summit | Technovation )

 

その他各種SNSで当日の様子なども発信されるので、フォローお願いします!

▼X(旧Twitter

Instagram

現地の様子やストーリーやリールがどんどん更新されるのでぜひフォローをば!

https://www.instagram.com/technovation_girls_japan/

告知②

アメリカでピッチを応援しながら、Technovation Girls 2025の参加者募集も始まっております!

今年も47都道府県400名以上の参加者を集めたいと思っているため、ぜひ周りの学校関係者・保護者に広めていただけると助かります。

 

世界最大級の女子中高生向けアプリ開発コンテスト「Technovation Girls 2025」参加者募集開始! | 特定非営利活動法人Waffleのプレスリリース

 

どんなことするの?と思う方は下記プロモーション動画をご覧ください。

www.youtube.com

 

引き続き応援のほど、よろしくお願いします!

 

 

 

▼個人でご寄付いただける方はこちらからお願いします!

syncable.biz

地方に女子およびジェンダーマイノリティの中高生にIT教育を届けるアウトリーチって、思いのほかめちゃくちゃ難しかった話

どうも、田中沙弥果ことアイヴィーです。(twitter

2022年夏、Waffleでは全国7都市の女子及びジェンダーマイノリティの中高生にHTML/CSSでホームページ作成&ロールモデルの方の進路やキャリアについて知れるプログラム「Waffle Camp ホームタウン」を無料で提供しました。

 

詳細はリリースをご覧ください。

 

prtimes.jp

 

WaffleCamp自体は2020年7月7日にリリースしてから運営していまして、2021年度にもっと地方の学生に機会を届けようとパイロットプログラムを回していました。

その成功体験をもとに、2022年度に全国展開をするために7都市での実施に踏み切りました。

 

そしてメンターには、Waffleプログラム受講した大学生に担ってもらいました。今年4月からのWaffleの新規事業である文系の大学生・院生が1年後にソフトウェアエンジニアのインターン獲得できるようにするプログラム「Waffle College」をスタートしており、その一期生に数ヶ月後に中高生に教える側に回ってもらいました。

 

参加費用もリリースに書いた企業の方々に協賛いただいて、受講者は無料で受講できるようにしました。

 

あとは情報を届けるだけなので、共催している男女共同参画センターや、県庁、教育委員会の皆さん、よろしく頼みます!!ということで、無料やし、地域の情報ネットワークがある方々と協力できているので受講生殺到するんちゃうかな?!!って思っていたのだが....

 

その地域でチラシを8000枚まいてもらっても、各学校の先生に直接話して生徒の参加促しをしてもらっても、20人の枠が埋まることがなかったのです....

 

2021年度は少なくともすぐに人が集まったので、今回驚きました。

 

学生へのヒアリングを年内実施などをして原因の突き止めていきたい所存ですが、思いのほか「IT(コーディング、プログラミング)」と「女子/ジェンダーマイノリティ」「中高生」にアウトリーチして機会を届けるのが難しいんだなと痛感しました。

 

わたしは大阪の中心から離れたところ出身なので、いかにこういう課外活動が日々の受験・学業・部活から離れている話かはある程度わかっているほうだと思っていたが...

自分が16歳のとき考えてみると...高校の校舎にいて、先生から情報提供されたり、学校にチラシがあって情報が届いたとしても行くまで結構ハードルあるかも....

 

参加した中高生の満足度はとても高く、メンターも満足度も4.7以上で非常によく、来てもらえれば楽しい体験を提供できるのは確実なのですが、来てもらうってことはもっと知恵を絞らないといけない点なのだなと思いました。

 

しかし、道筋や新たな可能性が見えたのも事実です。

 

2022年度実施してみてWaffle Campホームタウンの地方展開の意義は、学生に機会を届けることだけにとどまらず、地方のジェンダーギャップ解消へ寄与するポテンシャルがあるということです。

 

つまり、学生への機会提供だけではなく、地方の以下のジェンダーギャップ解消へも寄与する可能性があると感じました。

  • 親のジェンダーバイアスの払拭
  • 地域の職業観のアップデート
  • 地域における女性の自立・生き方についての価値観のアップデート

今回いくつかの開催都市で、WaffleCampホームタウンが実施されること・されたことを受けて、地元の議会で取り上げられたり、女性とIT教育の重要性について話題があがるということがありました。

 

また、地元の新聞でも女子中高生にIT教室というのが誌面に掲載されたりしました。

 

我々から直接保護者への教育はまだ手がまわらないので出来ないのですが、中高生に機会を届けることで地元メディアに取り上げてもらい、「令和の手に職 = ITスキルを身につけること」というふうに報道されていくと、だんたん地域の職業観や価値観などのアップデートに寄与できる可能性があると思います。

 

わたしの父親は中卒なので、私たち3姉妹に対しても中卒でいいから、高校いかんと早よ働けっていう価値観を持っていました。それを母親が「今の時代はちゃうねん!!大学まで行かなちゃんとしたところで働かれへんで!」と言って止めてくれたので三姉妹は大卒の学歴になりました。

 

母親が「今の時代は女性でも大卒が必要」という考えはどこから来たのかはわかりませんが、少なくともその地域で行われる催し物で発信されるメッセージやメディアの力は大きいと思います。

 

「今の時代の手に職(食いっぱぐれない仕事)は、ITスキル身につけて、働く場所・働き方を選ぶ側になり、お金も高収入!」というふうに、看護や医者、薬剤師、弁護士などと並ぶくらいにしていきたいですね・・!

 

※日本のIT業界の下請け構造はまた別の話なので、ここでは言及しません。

 

地方の機会提供は3-5年継続することが大事だということもわかったので、実直かつ確実に変化の渦になるように頑張ってまいります!

 

 

コミュマネ&カリキュラム開発担当者、採用中!

Waffle Collegeのカリキュラム開発及びコミュニティ・マネージャーを募集しております。

ご興味ある方はぜひ下記から応募いただけると嬉しいです!

プログラミング教育に熱意を持つエンジニア募集! | DRIVEキャリア-ソーシャル・NPO・ベンチャー・スタートアップ求人・転職サイト

 

ジェンダーギャップ解消に強い思いを持つ方募集![コミュニティ運営リーダー募集] | DRIVEキャリア-ソーシャル・NPO・ベンチャー・スタートアップ求人・転職サイト